確定申告で医療費控除を申告すれば、所得税の還付を受けることができます。確定申告というと難しそうに感じますが、e-Taxを使うと比較的簡単に申告ができ、還付も早く行われます。その勘どころについてご紹介します。
コンテンツ
準備するもの
医療費控除の還付申請に必要なものは以下の二つです。
- 源泉徴収票
- 医療費のリスト (e-Taxの場合は医療費集計フォームのファイル)
なお、そもそも手間をかけて還付申請をする必要があるかも要検討ですね。かかった医療費を計算してどれくらい税金が還付されるのか、事前に試算すると良いでしょう。以下の記事でも解説をしています。
源泉徴収票
1番目の源泉徴収票は説明不要ですね。
確定申告にはこの票に記載されている収入等の情報が必要で、医療費控除の還付以外でも共通で必要になります。
下記はe-Taxの給与所得入力画面のひとつで、源泉徴収票の記載事項を入力しているところです。源泉徴収票の記載場所と対応付けた入力ガイドがあるので、比較的簡単に入力を進められるかと思います。
医療費のリスト
2番目の医療費のリストは平成29年分の申告から必要になったものです。
正式には「医療費控除の明細書」と呼ばれ、医療を受けた人や医療機関名、かかった費用などをリストとしてまとめたものです。(明細書のサンプルは国税庁のHPに掲載されています。)この明細書を提出する代わりに、平成28年分までは必要だった医療費の領収書の提出は不要となりました。
領収書提出は、e-Taxの場合以前から省略可能で、医療費控除の明細書と同等の情報を提出することで代替されていました。(ただし税務署から領収書の提出を求められることがあるため、5年間は保存しておく必要があります。)
この医療費控除の明細書に相当するものが医療費集計フォーム(EXCELファイル)です。集計フォームはこちらのページからダウンロードできるので、これを利用して医療費のリストを準備します。
以下は明細書の記入例です。EXCELファイルである医療費の集計フォームも同じ形式となっており、医療費や通院にかかった交通費などを下記のように入力してリストを作成します。
なお、平成29年分の集計フォームは、平成28年分以前の集計フォームとは形式が異なっているので注意が必要です。(今回の制度変更にともなって形式変更されました。) ただ、旧形式の集計フォームでリストを作ってしまっていても、該当する部分をコピペするだけなので、それほど大きな問題はありませんでした。
申告手続
確定申告書作成コーナーから手続を開始
e-Taxの申告は、国税庁が提供している確定申告書作成コーナーから始めます。平成29年分はこちらになります。
セットアップその他の方法は国税庁のHPなどを参照頂くとして、医療費控除の入力は以下に示した「所得控除の入力」画面から行います。
上部に矢印で手続行程が表示されていますが、源泉徴収票を確認しながら収入、所得等を入力した後にこの画面が表示されます。画面の矢印で示しているように、医療費控除の項目にある「入力する」ボタンを押して処理を進めます。
適用控除の選択
続いて、二つの制度のどちらを選択するかを指定します。
セルフメディケーション税制は2017年に導入された新しい制度です。医療費控除との重複適用はできないので、どちらがお得になるのかシミュレーションをされると良いでしょう。私の場合は、市販薬をそれほど購入しなかったため、医療費控除を選択しています。
医療費データのアップロード
次の画面は医療費の入力方法に関する画面です。
医療費集計フォームを準備していれば、このファイルをアップロードして読み込ませるだけでOKです。
続く画面でアップロードしたデータの確認を終えれば、医療費控除の項目の申告は完了です。確認画面ではデータの修正や追加も行えます。
還付される金額の確認
医療費控除以外に必要な申告があればそれも行って手続きを進め、電子申告を完了します。途中の計算結果確認のステップでは、以下のように実際に還付される金額も確認できます。
おわりに
e-Taxを使った医療費控除の還付申告の方法についてご紹介しました。記事に書くと長いのですが、手続き自体はそれほど難しいことではありません。
さらにe-Taxを使うと、還付申告だけであれば通常の確定申告の時期(例年2月16日〜3月15日)より早く手続きが可能です。平成29年分の受付はすでに2018年1月4日から始まっており、1月16日からは24時間受付が可能になっています。また還付処理も速く、1月、2月に申告した場合は、2~3週間程度で処理されるそうです。
私の場合ですが、今年は2月5日に申告し、2月23日に還付金の振り込みがありました。3週間弱で処理されているので、言われているとおりの速さだと思います。
医療費のデータを揃えるところは少々煩雑ですが、医療費を多く支払っているのであればいくらかでも税金が戻ってくるので、やって損はないと思います。