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高額紙幣廃止のインドで長期金利が急低下。その理由とは?

Indian Rupees

トランプ新大統領の影響で世界中の金利が上昇傾向の中、インドでは金利が低下しているというニュースがありました。高額紙幣廃止がこの理由ということですが、なぜそうなるのでしょうか?

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モディ首相が11月に突然発表、しかも期限は12月末

きっかけは、インドのモディ首相が11月8日に突然発表した「2つの高額紙幣(1000ルピーと500ルピー札)の廃止」ということです。

これでなぜ長期金利が低下するの?と思ってしまいますが、2つの高額紙幣を廃止して使えなくした上で、新たに2000ルピー札を新札として発行する、という施策がさらに混乱に拍車をかけているようです。

両方の高額紙幣は「12月末までに銀行などで別の紙幣に替えなければならない」のですが、1日に交換できる上限額が定められている上、それを超えると自動的に銀行預金になるそうです。

11月8日に発表して12月末が期限とは相当乱暴だとは思いますし、インドの銀行窓口は混乱の極みじゃないかと思われます。特にインドは現金決済が主流で、しかも、2つの高額紙幣で全流通量の9割を占めていたということなので、なおさらです。

銀行預金がふくれあがりそれがインド国債に向かった

「風が吹けば桶屋が儲かる」といった具合に原因と結果は連鎖していくのですが、預金がふくれあがった結果、潤沢になった銀行の手元資金は投資先としてインド国債に向かったようです。

Source: bloomberg.com

上のグラフはこの1ヶ月の10年物インド国債の利回り推移です。モディ首相の発表前は6.8%程度あったものが11月29日には6.3%台まで低下(債券の価格としては上昇)しています。これは2009年以来の低さということです。

ただ利回りが下がることは悪いことではなく、国債の利回りに連れて借金の利率である市中金利も下がります。マイナス金利の日本からするとインドの金利はとても高く、金利が下がることで資金の流通は活発化するので、インド経済にとっては良いことかも知れません。

インド政府の狙いは何?

こんな混乱を起こしてまで制度変更を進めるインド政府の目的は、不正資金と偽札のあぶり出しということです。さらに、現金を貯め込むことができなくなるので、課税逃れの撲滅にもつながるということです。

また、国民の預金が進むことで、現金決済から銀行決済へ経済システムの転換を図ることにもつながります。

高かった市中金利が下がり経済は活性化、さらには税収が増えることも見込めるため、このような混乱を起こしても、インド政府にとってはメリットの方が大きいということでしょう。

とはいえ、新札の印刷が間に合っていないらしく、紙幣の流通量が一時的にでも減れば、インド経済への悪影響も予想されます。特に、農村部では現金が使えないことは死活問題のようです。

長期的にはインド経済にとってはプラスらしいので、混乱をなんとか乗り切って改革がうまく進むことを祈りばかりです。人口13億人を抱えるインドの経済成長は、中国が今ひとつとなっている現状では、世界経済にとって大変重要でもあることですし。

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