株の配当金にかかる税金を節約する3つの方法

NISA口座を利用すると「株式の譲渡益に加えて配当金も非課税にできる」と言うことを最近知りました。調べてみたところ、NISAの他にも配当金にかかる税金を節約する方法がありましたのでご紹介します。

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NISA口座の利用

まずはNISA口座を利用する場合です。この方法は、該当するNISA口座で管理されている株式の配当金を受け取る場合に限られます。

方法は、配当金の受取方法を「株式数比例配分方式」に変更するだけです。

通常の配当金受取には、指定口座への振込や配当金領収書により郵便局で受け取る方法などが指定されていると思いますが、この方法だとたとえNISA口座で管理されている株式であっても20%の課税がされてしまいます。

「株式数比例配分方式」に変更すると、配当金は証券口座に振り込まれるようになります。配当金領収書などは送付されなくなるため、配当金の確認は証券口座の入出金履歴などを使います。

受取方法の変更手続は多くの証券会社がネットで可能としているので、忘れないうちの手続がお勧めです。実は最近このことを知った私は、すでに2回分の配当金が課税されてしまっていました。

例えば楽天証券では、ログイン後のトップメニューから、右上の「設定・変更」(人のアイコン)にマウスオーバー、現れたプルダウンメニューから「配当金受取方法」(左下辺り)、と進めば設定変更画面にたどり着けます。この項目を「株式数比例配分方式」に変更すれば手続き完了です。

損益通算制度の利用

この方法は、株取引で損失がある場合に使える方法です。ただしNISA口座で損失があってもこの分を損失に含むことはできません。

申告分離課税による確定申告

その年の株取引で損失が出た場合、配当金と合算することで(損益通算と言います)、損失分だけ配当金にかかる税金を低く抑えることができます。

ただし、合算してマイナスになる場合の課税額は0円です。即ち税額の最低額が0円となり、還付があるわけではない点ご注意下さい。

手続には「申告分離課税」による確定申告が必要になります。確定申告の手続は少々煩雑ですが、その年に損失が出た場合にはかなり有効な節税手段になると思います。

損失は最大3年間繰り越せる

さらに、その年の合算額がマイナスになる場合はその分を翌年以降に引き継ぐことができます。これは「譲渡損失の3年間繰越控除」と呼ばれていて、名前の通り繰越期限は最大3年間となります。

なお、3年の間に配当金がない年があっても確定申告は毎年必要になります。この場合は、損失を翌年に繰越す手続が確定申告に相当するという訳です。

3年間繰越控除については以下のページの説明も参考になります。

上場株式などの譲渡損失の3年間繰越控除 | auカブコム証券 | ネット証券 (株・信用取引・FX・投資信託・NISA・先物オプション)
上場株式などの譲渡損失の3年間繰越控除のページです。「株」や投資信託を始めたい初心者の方に最適なネット証券会社なら、安心のMUFGグループの「auカブコム証券」へ。

配当控除による方法

この方法は課税所得が695万円以下の場合に有効な方法です。この方法もまた確定申告が必要ですが、この場合は「総合課税」による確定申告を行います。

「総合課税」で確定申告をすると、配当金にかかる所得税および住民税に対して配当控除が受けられます。(ひとつ前の項目で説明した申告分離課税では配当控除はありません。)

国税庁のHP等で確認できますが、配当金等を含む課税所得が300万円~695万円の場合、所得税、住民税の税率はそれぞれ20%と10%となっています。

住民税は各自治体が決めるものなので、国税庁のHPには載っていません。ただ、ほとんどの自治体で税率は10%となっているようです。より確実には自治体のHP等でご確認下さい。
課税所得は給与等の収入から様々な控除をした後の金額を指します。金額を調べるには、ご自分の源泉徴収票で確認頂くと確実です。

総合課税による確定申告で適用される配当控除は、所得税に対しては10%、住民税に対しては2.8%です。控除後の税率を合計すると配当金にかかる最終的な税率は17.2%になります。

この税率が通常の20%より低いため、節税になるというわけです。

これに対して、課税所得が695万円を超えると所得税が23%となるため、たとえ配当控除があっても税率の合計が20%を超えてしまいます。(計算すると税率は20.2%なので、わずかではありますが)

なお、総合課税の場合、申告分離課税で使えた損益通算はできないため、損失が出ているのであれば申告分離課税を使う方が有利です。

おわりに

株式の配当金にかかる税金を節約する3つの方法についてご紹介しました。

税金の世界はなかなか複雑でわかりにくく、また、頻繁に法改正もされます。この記事と併せて最新の情報も参照頂き、ご自分のケースで有利となる方法を見つけて頂ければと思います。

特に総合課税では他の収入と合算した金額に課税されるため、比較的条件が複雑になります。税率が高くなってしまう場合もあるので、ご自分のケースに当てはめて、また配当金以外の条件も含めてシミュレーションすることをおすすめします。


[参考]

https://keiei.freee.co.jp/2014/12/04/kakuteishinkoku-kisochishiki/