バイエルが買収することが報じられたモンサントとはどんな会社なのか

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ドイツ化学大手バイエルによる買収提案に、遺伝子組み換え種子最大手の米モンサントが同意したと報じられました。買収額は約660億ドル、現金による買収では過去最大とのことです。そこで今回は、モンサントとはどんな会社なのか調べてみましたのでご紹介します。

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モンサントの主要事業

モンサントの主要製品は、遺伝子組み換え作物(種子)と除草剤です。

除草剤は商品名ラウンドアップとして売られているもので、日本でも有名な製品です。

種子についても、遺伝子組み換えについて様々な議論があり、こちらもそれなりに有名なのではないかと思います。販売しているのは、自社の除草剤ラウンドアップに最適化された(“Roundup Ready”と呼ばれています)大豆やトウモロコシ、タマネギなどの種です。

出展: Mega-Mergers in the Global Agricultural Inputs Sector (etc GROUP)

出展: Mega-Mergers in the Global Agricultural Inputs Sector (etc GROUP)
(http://www.etcgroup.org/content/mega-mergers-global-agricultural-inputs-sector)

上図の右上に示されているように、種子の世界シェアはトップで、2013年では26%となっていました。2位以降は、デュポン(米)、シンジェンタ(スイス)となっており、これら3社で世界全体の55%を占める寡占市場となっています。さらに、デュポンはダウケミカルと統合、シンジェンタは中国化工集団(中国)に買収されたりしており、最近変化が激しくなっている領域でもあります。

最近の業績

モンサントの2015年主要財務データ

モンサントの2015年主要財務データ
(http://www.monsanto.com/investors/pages/financial-highlights.aspx)

上の画像はモンサントのホームページに掲載されていた2015年の主要財務データです。これによると、売上は150億ドル(1.5兆円)、純利益が23億ドル(約2,300億円)となっています。これに対して、日本の化学大手の住友化学の売上(関連セグメント)は2015年度で3,000億円程度ということなので、ワールドジャイアントとの事業規模の差はとても大きくなっています。

売上は2010年の105億ドルからずっと上昇していましたが、2015年は2014年と比較して5%の減少となりました。また、純利益も16%ダウンしています。ラウンドアップ除草剤に耐性を持つ、いわゆるRoundup Readyの遺伝子組み換え大豆の特許が2014年に切れ、その影響があったのかも知れません。とはいえ、純利益率は15%を超えており、超優良企業であるのは変わりません。

いろいろと議論のある強力なビジネスモデル

遺伝子組み換えの功罪についての議論は他に譲るとして、そのビジネスモデルは特筆すべきポイントだと思います。(あまりに強力なので邪悪な面も多いのですが。)

作物を育てる上で雑草の除去は、労力もかかって大きな問題となります。モンサントはそのための除草剤を売っているのですが、強力な除草剤だと草ばかりか大切な作物も枯らしてしまいます。そこで視点を切り替えて、逆に自社の除草剤だけに強い作物を作ってその種子を販売しているのです。除草剤に適した作物を作る手段として遺伝子組み換え技術を使っているため、いろいろと問題になっている訳です。

強力な除草効果を得るために農業従事者は、除草剤に加え種子もモンサントから買わなければならず、それによって強力な囲い込みに成功しています。

こういう経緯から業界における影響力は強大で(農業マフィアとも呼ばれるとか)、それ故に独占禁止法や不正競争防止法違反に問われることも多いようです。実際、2010年にはアメリカの司法省が独占禁止法違反の疑いでモンサントを捜査しています。

米司法省、独禁法違反でモンサントを調査 - 化学業界の話題
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いろいろな事例をみると、過去には、ターミネーター技術といって、種子を1代限りにしてしまう性質を遺伝子組み換えによって組み込んでいたこともあったようです。これが種子に組み込まれると、収穫した種子を翌年蒔いても、発芽した種子が毒素を出して枯れてしまうということです。

こういった性質を持つ種子なので、農家は自分で育てた作物から採れた種子を次の年の植え付けに使えず、毎年モンサントから買わざるを得ません。さらに、モンサントから種子を売ってもらうには除草剤もセットで買わなければならないそうです。ビジネスモデルとしては強力なのですが、ここまでするとちょっとやり過ぎで、農業従事者からの不満は多かったものと思われます。(日本であれば、セット販売禁止の不正競争防止法違反になりそうです。)

今ではターミネーター技術の組み込みはされていないのですが、優れた性質が1代限りしか現れないF1ハイブリッドという種子は一般的になっていて、モンサントに限らず多くの企業が販売しています。また、モンサントから毎年種子を買わざるを得ないという状況も変わっていません。

とはいえ、2014年の特許切れ以降、今までの傲慢とも言える姿勢は少しずつ弱まってきているようです。その結果が今回の買収受け入れにつながっているのかも知れません。

おわりに

世界の人口が増え、新興国の発展とともに旺盛な食糧需要の増加が予測されています。人口の伸びは非線形なのに食糧増産は線形でしか伸びていない、といった状況もあり、いずれ食糧需給が成り立たなくなるのは目に見えています。そこにビジネスチャンスを見たところが競った結果、最近の業界再編につながっている訳です。

一方、遺伝子組み換えや除草剤による食糧増産への貢献も明らかで、世界の人を飢餓から救っていることも事実だと思います。これからの時代、ますます食糧増産に関わる技術開発は重要となります。ネガティブな議論はあるものの、それだけにこだわってしまって、食糧増産全般に関わる技術開発がそがれてしまう、といったことが起こらないようにすることもまた大切だと思います。

この記事を作るにあたっては、以下のページも参考にさせて頂きました。

巷で話題のモンサント社についてまとめてみた - NAVER まとめ
農業マフィアとして名高いアメリカのモンサント社。この会社の問題となっている論点はどういったところなのでしょうか。まとめてみました。
http://fabfour.co.jp/blog/index.php?e=544