Appleが2017年度第3四半期の業績を発表。サービス関連の四半期売り上げは過去最高に。

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Appleが2017年度第3四半期(2017年4月~6月)の業績を発表しました。純利益は87億2000万ドルで前年同期比12%の増加、2四半期連続で増益を維持しています。

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サービス事業の売上が22%増加

2017年度第3四半期の業績報告は以下の記載から始まっています。

Revenue Growth of 7 Percent and EPS Growth of 17 Percent

Services Revenue Hits All-Time Quarterly Record

売上が前年同期比7%の伸び、1株あたり利益も17%の伸びということです。また、サービス事業の売上は四半期として過去最高になりました。

今期の売上は、特にサービス事業で22%増と顕著でしたが、iPhone、iPad、Macなどハードウェアセグメントを含め、すべての領域で前年同期比プラスとなっています。

株主還元プログラムも引き続き進めており、今期は117億ドルの還元(自社株買いや配当)を実施、このプログラムによる還元総額は2230億ドルになったということです。

業績は2期連続で増益

Apple PL3QFY2017

上の表は2017年度第3四半期の損益計算書からの抜粋です。

赤枠で示した第3四半期の売上は454億ドル(約4兆9000億円)ですぐ右横に示されている前年売上(424億ドル)から7.2%増加。また、営業利益(緑枠)は108億ドル(約1兆1700億円)、純利益(青枠)は87億ドル(約9500億円)となりました。営業利益は前年同期比6.6%、純利益は11.8%の増加でした。

前期(第2四半期)に引き続き2期連続の増益で好調を維持しています。営業利益率も約24%と高水準です。

ちなみに、純利益を売上高で割った売上高純利益率は19%。日経新聞に載っていた日本企業の売上高純利益率ランキング(4月から6月期)と比較すると9位に相当しました。

ランキングにはキーエンスやファナックなど、日本の超優良企業が載っていましたが、純利益の総額は大きいものでNTTドコモの約1900億円です。少々無理矢理な比較ではありますが、ドコモの5倍弱の利益を出しながらも、純利益率でもトップ10内に位置するアップルの実力が分かるかと思います。

地域および製品別の売上

下の表は地域と製品別の第3四半期売上データです。(情報はここで公開されています)

Apple 3QFY2017 Segment

中国での売上減は3期連続

9月の次期iPhone発表前という買い控えの影響もあり、売上は全地域で第2四半期を下回っている状況です。

中でも中国が相変わらず不調で、前年同期比10%のダウン(表中の赤枠)です。中国の売上減少は2期前の第1四半期からで、前々期は12%減、前期も14%減と芳しくない状況が続いています。

政治状況の変化で中国では韓国製品であるSamsungの端末は売れなくなったそうですが、同じようにAppleもシェアを落としているようです。Appleの方は政治的影響とばかりは言えないかも知れませんが、中国の富裕層にもてはやされてきたアップルブランドが通用しなくなってきたようです。

代わって台頭してきたのが中国のスマホメーカーの製品で、最近ではHuaweiやOPPOといったブランドの端末人気が高いようです。

とはいえ、中国以外の地域ではすべて前年度比プラスとなっており、中国の落ち込みをカバーしてトータルでは7%の伸びとなりました。

iPadの売上台数は大幅増、サービスも好調

製品別ではiPadの売上が台数ベースで前年同期比15%増(緑枠)と大きく伸びました。

iPadは長らく売上が伸び悩んでいたのですが、大型画面のiPad Proや価格を抑えたiPadの投入が奏功したようです。売上高ベースでは2%の伸びと台数ベースに対してかなり低いことから、特に値頃感の出た9.7インチiPadがよく売れたものと思われます。

iPhoneの売上台数は4100万台、売上高は248億ドル(橙枠)で、全売上高の55%を占めています。買い控えの影響で前期からは台数ベースで19%減となりましたが、前年と比較すると、台数で2%、売上高では3%増加しました。結果が出るのは少し先になりますが、次期iPhoneの販売開始でこれがどのように変わるのか楽しみなところです。

さらに、サービスの売上は前年同期比22%増の72.7億ドル(青枠)と相変わらず好調です。前期と比べても3%の増加で、四半期として最高の売上高となりました。

表ではiPhoneの売上高と併記されているので目立たないのですが、日本円にして約8000億円もの額で、すでにiPadやMacの売上を上回っています。今後も成長が期待され、Appleの主要なビジネスセグメントとして重要になっていくのは確実と思われます。

おわりに

Appleの第3四半期の業績は次期iPhone発売前にもかかわらず、サービスやiPadの売上が貢献し引き続き好調でした。

中国の売上減少をものともしない決算ですが、大消費地である中国の売上不振はじわじわと悪影響を及ぼすかも知れません。とはいえ、Appleが手を打っていないはずもなく、今後どのような対抗策を打ってくるのか楽しみでもあります。

今回の発表と同時に第4四半期(2017年7月~9月)の売上見通しも発表されました。まだ、新型iPhoneの影響はほとんどないと思われますが、それでも最低で今期の8%増、490億ドルから520億ドルとしています。


[参考]

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