Appleの2016年第4四半期の業績が発表されました。減収減益ながら業績はとても優良です。

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Appleの2016年第4四半期(2016年7月~9月)の業績が発表されました。

売上高は468億5200万ドル(前年同期比9%減)、純利益は90億1400万ドル(前年同期比19%減)で、3期続けて減収減益という結果でした。
減収減益の主な理由はiPhoneの販売数低下。第4四半期のiPhoneの売上は4550万台(5.2%減)ということです。

3四半期連続で減収、減益ということで市場の反応はよろしくない(決算発表を受けた時間外取引で株価は3%程度の下落、その後も下降基調)ようですが、時価総額一位の企業だけあって、会社としてはとても優良です。以下、なぜAppleが優良と言えるのか、そのポイントについて解説したいと思います。

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Appleの業績推移

Apple損益計算書

上の表はAppleの有価証券報告書から抜粋した損益計算書の一部です。Appleの会計年度は10月から始まりますので、2014年9月末から2016年9月末に至る3年間の業績が示されています。

2016年度の売上(Net sales)は2156億ドル、営業利益(Operating income)が600億ドル、純利益(Net income)が457億ドルとなっています。日本円に換算すると、年間約22兆円の売上があり、営業利益および純利益がそれぞれ6兆円、4.7兆円ある会社ということになります。

売上規模でいうとトヨタ自動車と同程度ですが、純利益の水準は日本で一番業績が良いトヨタでも追いつかない数字です。ちなみにトヨタ自動車は、2015年までの過去10年間に積み上げた純利益の額が約10兆円、日本企業の中ではトップということです。(東洋経済Onlineの記事より)

昨年度の実績から売上、利益とも落ちてはいますが、それでも2014年度からは増えており、業績水準としては依然として高いと言えます。

Appleが優良である3つのポイント

累計10億台以上も売れているiPhone

今回の発表でも数字が上がっていましたが、iPhoneは3ヶ月間に約4500万台も売れています。単純に換算すると、1億台を軽く超える数のiPhoneが1年で売れてしまうということになります。そして、2007年の初代発売から9年目となる今年、iPhoneの販売台数は累計10億台を超えたということです。

iPhoneの本体価格は1台8万円から9万円ほどととても高価です。あんな高価なものが、年間1億台以上も売れるなんて、通常では到底考えられないレベルといえます。

ちなみに、iPhoneよりずっと単価が安いニンテンドーDSでさえ、販売台数は累計1億5000万台(Wikipedia、2015年12月現在)ということなので、化け物のような製品ですね。

驚異的な収益力を支えるCCC

今回の四半期の発表数値でいうと、Appleは3ヶ月間で利益を90億ドル、日本円に換算して約1兆円弱もあげています。前年同期より2割減っているとはいえとても高い業績であり、Appleの収益力が尋常で無いことが分かります。

1番目のポイントで挙げたとおり、製品が売れていることは好業績の理由のひとつですが、これほどの数の製品を作りながら、高い利益を上げるということは一筋縄ではいかないことです。このためには、部品の調達から製造、配送、販売にいたるまでのサプライチェーンマネジメントが重要な鍵となります。過去にこの改革をAppleで行なったのが現CEOのティム・クックさんです。

企業の業績を測る一つの指標としてCCC(キャッシュ・コンバージョン・サイクル)と呼ばれるものがあります。(CCCについては下記ボックスをご参照下さい)
日本のメーカーのCCCは、海外企業に比べると長くなる傾向にあり、60日から70日程度と言われています。Appleもかつては60日程度であったのですが、ティム・クックさんの改革により、一時はマイナス20日にもなったということです。(2012年1月17日、日経新聞朝刊)

少々イメージしづらいのですが、これは、製品を製造する20日前にその代金の回収を終えているということを意味します。iPhoneを例にとると、キャリアが前払いをして自分たちが顧客に売るiPhoneを作ってもらっている、というイメージです。iPhoneという製品が優れているが故に、キャリアは前払いをしてでも製品を確保しようとしている、とも言えます。

CCCとは
これは、原材料等の購入費用を支払ってから、製品を製造し、その製品の売上代金を回収するまでの期間を言います。一企業からすると、原料費用を支払ってから製品ができるまで、さらには、その製品が出荷されて代金が回収されるまでの期間が短ければ短いほど余分な資金が不要になるので好都合です。そのため企業の優良度を測る一つの指標となっています。

将来への投資を支える潤沢な保有現金

Appleのバランスシート抜粋

上の表はAppleの有価証券報告書から抜粋した貸借対照表の一部です。
赤枠部分に表示されているように、現金、短期投資、長期投資の合計期末残高は2375.85億ドル(約24.5兆円、2016年9月末時点)もあります。ちなみにマイクロソフトは2016年6月末時点で1236.71億ドルでしたので、アップルはマイクロソフトの約2倍という潤沢な資金を保有している訳です。

さらに長期投資の割合が70%以上と非常に大きいことが特徴的です。短期投資よりも研究開発などの長期投資に莫大な資金を投入しようとしている訳で、将来への備えも着実に行っている会社だと言えます。折しも、Appleが初めて海外に設置する研究所は横浜に建設中ですね。

おわりに

フォレストガンプ(1995年に日本公開)という映画で、「リンゴマークの会社の株を買っていたので生活に困らない」といった話があったのを今さらながら思い出しました。
当時としても優良な会社で、とても株は買えないなぁと思っていたのですが、その後、さらに大化けした次第。ITバブルが崩壊した2000年頃の株価は20ドル台だった記憶もあります。あのとき株を買っていれば今頃は… たらればを考えてもしょうが無いことですが。

以上、皆さまのご参考になれば幸いです。

参考文献

米アップルの現金力示す「キャッシュ・コンバージョン・サイクル(CCC)」
米アップルは巨額の現金を保有している。同社の手元資金は約760億ドル(2012年1月時点)。米政府の現金残高とも肩を並べる水準だ。同社はその有益な使い途を検討した末に、株式配当の復活を決めた。 製品の
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