Facebookが2017年度第1四半期の業績を発表。純利益は前年同期比76%もの増加。

facebook

Facebookが2017年度第1四半期(1月から3月)の業績を発表しました。売上が昨年同期比49%増、純利益も76%増で、株価も上場来高値を更新するなど引き続き好調です。

コンテンツ

2017年度第1四半期の業績

Facebook FY2017/1Q

上の表はFacebookが5月3日にリリースしたページに掲載されていた報告書からの抜粋です。

売上高は赤枠の部分で、2017年度第1四半期(2017年1月から3月)は前年同期比49%増の80億3200万ドル(約9040億円)でした。

営業利益(緑枠)は33億2700万ドル(約3750億円)、純利益(青枠)が76%増の30億6400万ドル(約3450億円)となり、前期に引き続き好決算となりました。

売上高営業利益率(営業利益の下の緑枠)は41%と非常に高い水準で、前年同期に比べても4ポイント増加しました。

ちなみにこの営業利益率、日本の大手電機メーカーであれば1桁台で、2%とか良くて6%台です。事業構造が全く違うので一概には言えませんが、こんな数字を出せば日本では超優良企業となります。日本だとキーエンスやファナックがこの辺りですね。

業績には利用者増やモバイル広告が貢献

月間利用者数は20億人近くに

報告書でMAU(Monthly Active Users)と記載される月間利用者数は、Facebookの実質的な利用者数を示す指標です。このMAUは3月末時点で19億4000万人と20億人に迫り、前年同期からの伸びも17%と急増しています。

また、毎日利用する人の指標であるDAU(Daily Active Users)は12億8400万人で、前年同期比18%の伸びとなりました。

DAUをMAUで割った数字は66%。この数字は、Facebookがどれほど頻繁に利用されているかを示す指標です。すなわち、およそ3分の2の人は、何らかの形で毎日Facebookにアクセスしていることになります。

利用者数が伸びた理由は、Facebookが2012年に買収したInstagram(インスタグラム)の好影響もあります。

Instagramの利用者数(MAU)は昨年12月の6億人から4ヶ月間で1億人増加、4月に7億人を超えたと言うことです。4ヶ月間で日本の総人口に近い数の利用者が増えた訳で、売上への影響も非常に大きいものと思われます。

モバイル広告の売上が大幅に拡大

Facebookの売上のほとんどは広告です。
先に載せた第1四半期の報告書では、売上高80億3200万ドルのうち、78億5700万ドルが広告による売上で、実に97.8%を占めています。

今期はこの広告売上のうち85%がモバイルからとなり、前年同期比82%もの伸びとなりました。

当初PC向けサービスとして始まったFacebookも、もはやモバイルは無視できない状況です。その一環として、モバイル専用サービスであったInstagramを初期の段階で買収したことは、とても先見の明があったと言えるでしょう。

Instagramが買収されたのは2012年4月ですが、当時この会社はまだ創業2年、社員数も13名しかいなかったそうです。

今期のモバイル広告の伸びは、Instagramの会員数の伸びによるところも大きいと思われ、2012年の10億ドルの投資も無駄ではなかったというところでしょうか。

株価は上場来高値を更新

Facebookの株価は、2012年5月の上場以来、上場してしばらくの軟調な時期を除けば、ほぼ一本調子で上昇しています。

FB Stock 20170505

決算発表前の5月3日には、上場来高値を8日連続で更新しました。年初からの株価上昇率は32%で、Amazon, Netflix, Google(今のアルファベット)といった成長株の中でもトップでした。

ちなみに、上記3社とFacebookは各社の頭文字をとって”FANG銘柄”と呼ばれています。4社とも昨今の成長が著しい銘柄ということでこのような名称がつけられているそうです。

直近では株価は下がっていますが、これは、広告収入の伸びが今後は低下すると決算で発表されたことが理由です。

とはいえ、好決算を受けて、米証券会社9社が目標株価を上方修正しています。修正値はバークレイズの160ドルなど、中央値で170ドルへの引き上げとなっています。

おわりに

非常に好調なFacebookではありますが、課題がないわけではありません。

先のアメリカ大統領選ではフェイクニュース(偽ニュース)を流通させたメディアとしてクローズアップされ、その後対策を迫られました。

また、4月には殺害の様子など不適切な動画が投稿される事態も発生しており、投稿を監視する体制を大幅に強化することも発表しています。

これもFacebookの世界全体に対する影響力が高まったことによるもので、広告メディアとしての公平性、信頼性をいかに担保するかが直面する大きな課題だと思います。

なお、3ヶ月前のFacebookの決算は以下で記事にしました。たった3ヶ月前ですが、株価は130ドルを超えたところ、株価の成長も著しいですね。

Facebookが2016年度業績を発表。営業利益倍増、純益約3倍の好決算の理由とは。
Facebookから2016年通期および第4四半期(10月から12月)の業績が発表されました。年間売上は昨年から57%増え、営業利益と純利益もそれぞれ2倍、3倍という好決算でした。その好調の理...

[参考記事]

フェイスブック、1~3月76%増益 モバイル広告好調 - 日本経済新聞
【ニューヨーク=小川義也】米フェイスブックが3日発表した2017年1~3月期決算は、売上高が前年同期比49%増の80億3200万ドル(約9050億円)、純利益が76%増の30億6400万ドルだった。動画を含むモバイル広告が引き続き好調だった。3月末時点の月間利用者数は19億3600万人と1年前に比べて17%増加。毎日利...
米フェイスブック、成長株の評価再び 利用者増が加速、20億人に迫る - 日本経済新聞
【NQNニューヨーク=滝口朋史】 米フェイスブックが3日発表した2017年1~3月期決算は、米市場を代表する成長株の面目躍如といえる内容だった。一時伸び悩んだかに見えた利用者数は増加が加速し、20億人の大台に迫った。1株利益も市場予想を上回った。決算発表前に連日で上場来高値を更新するなど株価は過熱気味だった。目先は材料...
「社員13人、売上高ゼロ」でも買収額810億円、フェイスブックM&Aの真相 - 日本経済新聞
交流サイト(SNS)最大手の米フェイスブックが写真共有アプリ「インスタグラム」の開発会社を約10億ドル(約810億円)で買収することを決めた。インスタグラムは2010年10月にアプリの提供を始めたばかりで社員はわずか13人。売上高もまだ、ほぼゼロの状態だ。そんな企業になぜフェイスブックは同社のこれまでのM&A(合併・買...